みなさんはマーダーミステリー(マダミス)をご存知だろうか。
殺人事件をベースとしたシナリオの中で容疑者の一人となり、話し合いや調査をしながら犯人を突き止めるというテーブルゲームの一種だ。
だが犯人以外の容疑者にも隠したい事実や異なる目的が用意されるため、一筋縄にはいかない。
そしてシナリオごとに内容は決まっているため、同じシナリオは二度と遊ぶことはできない。
そんなマーダーミステリーをテキストアドベンチャーゲームに落とし込んだのが『マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年』だ。
基本情報と総評
基本情報
タイトル | マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年 |
開発 | 213℉ |
パブリッシャー | Aniplex Inc. |
発売日 | 2023年12月1日 |
総評
カジュアルに楽しめるミステリーアドベンチャー。ただしプレイ時間の割に通常価格はやや高め。
離島で繰り返し起きる怪事件の謎を解き明かせ。
ストーリー
2004年8月、主人公「天沢 樹」は義母の実家である人口数百人の離島、式音島を訪れる。そこで祖母や従兄弟たちと出会い、“式音島の神隠し”と呼ばれる怪事件が繰り返し起きていたことを知り、自分の大切な人たちを守るために事件の謎に迫っていく――というのが大まかなストーリーだ。
ゲーム概要・システム
先述の通りマーダーミステリーに擬えたシステムとなっており、主人公は容疑者の一人として犯人捜しに参加することになる。
限られた時間(実時間ではなく、行動により時間が経過)の中で他の容疑者たちと会話して手がかりを集め、推理を行いそれぞれの疑問を解消しながら真実に迫っていく。
具体的には各章ごとに事件が起こると、「調査フェーズ」「全体議論フェーズ」「投票フェーズ」と進み、犯人を突き止めることで物語が進む。
調査フェーズ
調査フェーズではそれぞれの容疑者と一対一で“密談”を行い、情報や疑問を聞き出していく。
なお相手の求める情報を提供したり、疑問を推理して解決することで新たな情報を獲得したり相手からの信用を得ていくことになる。
全体議論フェーズ
全体議論フェーズでは調査フェーズで調査・推理した内容を元に、それぞれの容疑者が順番に主張していく。
相手の主張に対して証拠を示して賛同、もしくは否定することで主人公の信用も変動。この全体議論フェーズでの行動次第で投票フェーズの結果が大きく変わる。
投票フェーズ
投票フェーズではこれまでに得た情報を統括し、それぞれ犯人と思う人物に投票を行う。
得票数が最も多かった人物が犯人として拘束される。
無論、主人公が信用を得られず投票されてしまうと犯人とされてしまいバッドエンドになってしまう。
ミステリーアドベンチャー好きなら買いだが、マダミスを求めて買うとコレジャナイ感が出るかも
クリアまでのプレイ時間は約10時間前後と、比較的カジュアルに楽しめる質の高いミステリーアドベンチャー。しかし通常価格が2,200円ということもあり、ボリュームの割には割高な印象になってしまう。
過去セールでは30%オフが何度か実施されているので、買うのならセールを狙ったほうがいいかもしれない。
ミステリー部分で詰まるときはだいたい調査フェーズでの推理だが、そこまで難しいと感じるものも少なく、間違え続けるとヒントを見るか選ぶこともできる親切設計になっている。
ストーリーとしては主人公関連の伏線が結構分かりやすかったりもするが、他のキャラクター同士の関係性や事件前後の変化などは面白い見せ方だと感じた。
ただし「マーダーミステリーか」と聞かれると微妙なところ。
マダミスでは「犯人ではないが、隠したい事実があるため犯人に協力するor事件をかき乱す」といったキャラクターを割り振られることもあるが、主人公が固定のアドベンチャーゲームでは流石にそういった部分までは楽しめない。
なお体験版も配信されており、プロローグと1章がプレイ可能。
気になった方は是非プレイしてみてもらいたい。
この記事を書いた人Wrote this article
ノア
元ゲームシナリオライターで、何やかんやあってQAに転向。現在はサービスアプリ開発の仕事をしつつ、趣味でゲームをしています。RPG、アクション好きで、アウトドア趣味はバイクとキャンプ。